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樋口一葉の「蕗の匂いと、あの苦み」 今日、11月23日は一葉の命日です 松岡正剛 (4/5ページ)

2014.11.25 19:00

【BOOKWARE】編集工学研究所所長、イシス編集学校校長の松岡正剛さん=9月14日、東京都千代田区の「丸善丸の内店内の松丸本舗」(大山実撮影)

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 そのやるせない交感がたまらないところへ、正太郎や長吉らの悪童なりの心の背伸びが挿入される。今日の少女マンガの原点でもあろう。『にごりえ』は粋な酒の座敷を舞台に、客の結城朝之助に惹かれたお力の身の上話から始まる。朝之助は静かにあしらう。そこへお力に入れ込んできた源七の妻子との葛藤が絡んで、ひょんなことから無理とも合意ともわからぬ無理心中に話が進み、お力が名状しがたいままに死ぬことになる。どうして一葉がこんな成熟した物語が書けたのかというほど、情景の内奥は爛(ただ)れるように美しい。

 【KEY BOOK】「大つごもり・十三夜」(樋口一葉著/岩波文庫、540円)

 『大つごもり』はせつなく、すれすれで、どこか身を切られる思いになる。それでもほっとした年越しになるという物語だ。山村家に奉公している18歳のお峰は、暇がもらえたので初音町の伯父の家に行くのだが、そこで借金の延滞金の必要を聞く。お峰は山村に借りようとするものの段取りがつかず、思わず引き出しから1円札2枚を盗む。大晦日、お峰の盗みが露見するのだが、意外な結末が待っていた。何事もなく年が明けるのだ。

お関のセリフが耳に残って離れない

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