タイガをひとまわりして狩小屋に戻ると、アンドリューシャがブランをひっくり返し、キャタピラに付いた氷を斧(おの)でたたき割っていた。「何かいたか?」と聞くので、「たくさんの樹に会ってきた」と僕は答えた。(写真・文:写真家 伊藤健次/SANKEI EXPRESS)
■いとう・けんじ 写真家。1968年生まれ。北海道在住。北の自然と土地の記憶をテーマに撮影を続ける。著書に「山わたる風」(柏艪舎)など。「アルペンガイド(1)北海道の山 大雪山・十勝連峰」(山と渓谷社)が好評発売中。
■ビキン川のタイガ ロシア沿海地方に広がる自然度の高い森。広葉樹と針葉樹がバランスよく混ざっており、絶滅に瀕したアムールトラをはじめ、多様な種類の野生動物が生息している。