首都ニューデリーの大統領宮に到着したスリランカのマイトリパラ・シリセナ大統領夫妻(中央)を出迎える、インドのナレンドラ・モディ首相(右)とプラナブ・ムカジー大統領(左)=2015年2月16日、インド(AP)【拡大】
会談後の共同記者会見で、モディ氏は「われわれの安全保障と繁栄は不可分だ」「国防と安全保障での協力拡大で合意した」と述べ、軍事的に台頭する中国を牽制(けんせい)した。また来月に、スリランカを訪問することを表明した。シリセナ氏も両国の「関係強化」を訴えた。
シリセナ政権を自国側に手繰り寄せようとするインドはかねて、隣国、スリランカを勢力圏内に置いてきた。スリランカの少数派民族タミル人の旧反政府武装勢力「タミル・イーラム解放のトラ」(LTTE)と多数派シンハラ人主導の政府との対立に関与し、内戦下の1987~90年に、平和維持部隊を派遣した。
91年には、タミルナド州で選挙運動中のラジブ・ガンジー元首相(当時46歳)が、LTTEの女性自爆犯に介入の報復として暗殺されるという辛酸もなめている。インドはこの約4半世紀、国際会議を除いて首相がスリランカを訪問しておらず、事件の衝撃の大きさを物語る。
4カ国とのバランス外交
一方、中国は近年、インド洋周辺国で港湾整備を支援する「真珠の首飾り戦略」を進め、インドは将来の中国艦船寄港につながると警戒してきた。最近は、潜水艦がスリランカのコロンボ港に2度にわたって停泊したことが初めて明らかになり、影響力拡大が顕著になっている。