要衝争奪終われば停戦可能
筆者はGRUの現役だけでなく、OBとも独自のネットワークがある。ソ連時代、GRUはソ連共産党中央委員会の完全な統制下にあった。しかし、ソ連崩壊後、GRUは大統領府や政府の統制に必ずしも従わない事例が出てきた。チェチェンやモルドバの沿ドニエステル地区の武力衝突が悪化した背景にも、GRUの独自活動がある。
ウクライナの親露派武装勢力は、そもそも義勇軍なので、ロシア軍の指揮命令系統に属していない。さらにそこにGRUの現役とOBが、自発的に協力している。親露派武装勢力は「関東軍化」していて、幹部にプーチン大統領の指示に従わない分子がいるので、ロシアの影響力行使に限界があると筆者は見ている。もっとも、東部の交通の要衝であるデバリツィボでの戦いが終結すれば、ウクライナ政府軍と親露派武装勢力の均衡がとりあえず達成される。この時点で本格的な停戦を実現することは可能だ。この機会を逸すると、ウクライナ東部の内戦は長期化する。