二正面作戦避けよ
欧米諸国や日本にとって最大の脅威は過激組織「イスラム国」だ。ウクライナ問題をめぐるロシアとの対立を解消しないと、欧米は「イスラム国」だけでなくロシアとも対峙する二正面作戦を余儀なくされる。ここで第二次世界大戦に至った過程を反省する必要があろう。英仏などの資本主義列強とソ連の対立を最大限に利用して、ナチス・ドイツが勢力を浸透させた。世界支配という自らの野望を暴力やテロに訴えてでも実現しようとする点でナチス・ドイツと「イスラム国」はよく似た存在だ。欧米とロシアの力を結集して「イスラム国」を封じ込めることに全力を尽くすべきだ。(作家、元外務省主任分析官 佐藤優(まさる)/SANKEI EXPRESS)