そんな具合だから、店内は喧騒に包まれる。地元客からは苦情が殺到する。さりとて、中国人を締め出せばせっかくのビジネス・チャンスを失う。
ニューヨークの高級デパート、メーシーはそこで苦肉の策をとった。一般客用の閉店時間を午後5時に繰り上げ、5時からは中国人団体客向け「貸し切り」とした。
湧き出る人民元
いったい、中国人のマネーパワーはどの程度か。
中国人の買い物はもっぱらデビットカード「銀聯カード」を使用する。円代金は中国の銀行に持つ預金口座から相当額の人民元が引き落とされる。そこで、中国の現預金総額(M2)はどのくらいあるか、ドル換算してみると驚くことなかれ。2014年末は20兆ドル(約2400兆円)強に上る。日本の7.5兆ドル、米国の11.6兆ドルを圧倒している。中国の年間増加額は2兆ドルに上る。14年末の中央銀行の資金発行の年間増加量「1」に対するM2増加量の割合は中国の「5.3」に対し、日本は「0.42」、米国は「1」だから、中国人民銀行が刷るカネによる現預金創出力は爆発的で、人民銀行を支配する中国共産党は、空前絶後の世界的錬金術師である。