枡を作るときにはカンナがけという大切な仕上げ工程があり、このときに大量のカンナくずが生じる。3代目として経営を切り盛りする大橋博行社長は「これを何とか再利用できないものかと考え、木材の中でも水をよく吸うヒノキの特性から加湿器にたどりつきました」と開発秘話を明かす。こうして薄いヒノキは、帆に活用されることになる。
しかし、MASTは、決して製造過程で生じる廃棄物の有効利用という観点だけから誕生したものではない。大手外資系企業の営業マンだった大橋社長は、家業を継ぐと同時に、次の飛躍につなげるための数々の試みに挑んできた。その一つが現代人の感性にマッチしたMASTのような付加価値のある商品づくりだ。若手デザイナーの岡田心氏に依頼し、インテリア性を高めて見た目の良さにもこだわったのも、そうした理由からだ。