ただ、ロシア側がアンナさんを解放したことで、当局が彼女を「犯人」とみていないことだけははっきりした。3日にはネムツォフ氏の葬儀がモスクワで営まれており、それまでの間、ネムツォフ氏がウクライナ側と通じているとの印象を与え、政権への反発を弱めることには成功したという解釈も成り立つ。
監視カメラ操作か
それでも事件の謎はなお残る。AP通信は、ロシアのビジネス紙コメルサントを引用し、街の監視カメラがネムツォフ氏が殺害された場面の録画に失敗したとするロシア内務省の匿名情報を報道。一方で「当時、全てのカメラは正常だった」とするモスクワ市の情報技術部門の相反するコメントも掲載した。
そうであるならば両当局より強い権限を持つ組織が何らかの形で監視カメラの情報を操作した可能性も否定できない。帰国したキエフの空港では担当弁護士が「彼女には休息が必要だ」と語るばかりで、アンナさんが報道陣の前に姿を見せることはなかった。(SANKEI EXPRESS)