トヨタ自動車系列の自動車部品メーカーの工場。人材確保の難しさから、業績以上の賃上げに踏み切る企業も出ている=2015年3月12日(松岡朋枝撮影)【拡大】
刈谷市の部品メーカーも今春、2年連続で賃上げを実施する方針だ。男性経営者は「従業員のモチベーションを維持するため」と話す。だが、業績は上向いているとは言い難く「日々の『カイゼン』で原資をつくるしかない」と話す。
海外販売の好調や円安で業績好調なトヨタなど大手各社は、今春闘で2年連続のベアを実施する見通し。ただ、自動車部品メーカーの6割程度は国内のみで事業を営んでおり、円安の恩恵どころか、むしろ海外部品の調達コストの増加などで負担が積み重なる。
豊田市の研磨会社の経営者は「10年、20年続く仕事が入れば設備や人に投資をしたいのだが」と賃上げには消極的だ。円安で自動車生産が国内回帰の動きを見せ、新しい仕事の依頼も舞い込むが「為替が変動すれば、いつまた海外に移されるか分からない」との不安を拭うことができない。
昨年の春闘では、大手企業は幅広い業種でベアに踏み切ったが、経済産業省の調査では中小企業でベアを実施したのは約2割。賃金の格差は広がった。