政府は16日、関係閣僚と経済界、労働界の代表が意見交換する「政労使会議」を首相官邸で開き、経済の好循環実現に向け「企業収益の拡大を来年春の賃上げや、設備投資に結びつけていく必要がある」と明記した合意文書をまとめた。賃上げで合意文書を取りまとめたのは2年連続。来年の春闘の議論にも影響を与えそうだ。
安倍晋三首相は会議で「経済界は賃金の引き上げに向けた最大限の努力を図ってほしい」と強調し、消費税率10%への引き上げを予定する2017年4月まで賃上げを継続する重要性を訴えた。併せて円安で好業績の輸出型企業に対しては、設備投資や下請け企業へ支払う代金についても配慮するよう求めた。
政労使会議では昨年の合意文書にも賃上げ方針を盛り込み、14年春闘で大企業を中心に賃金を一律に引き上げるベースアップ(ベア)の実現につなげた。
このほか合意文書では、女性の就労促進のため、配偶者控除や配偶者手当などの見直し、長時間労働の是正を検討することも盛り込んだ。
ただ、年齢や勤続年数に応じて給料が上がる「年功序列型賃金」の見直しや労働時間規制の緩和に関しては「仕事・役割、貢献度を重視した賃金体系とすることや、子育て世代への配分を高める方向へ賃金体系を見直すことが一案」と言及するにとどめた。