労使の争点となる賃上げ幅について、経済同友会の長谷川閑史(やすちか)代表幹事(68)は16日の定例会見で、前年の月例賃金の平均引き上げ率2.07%(連合まとめ)を例に挙げ、「前年と同水準の賃上げが実現すれば、落ち込んでいる実質賃金とのギャップを埋められるのではないか」と述べた。
一方の連合も、毎月の給与水準を引き上げるベアについて、2%以上を要求する方針を掲げるが、同じ「2%」でも、定期昇給を含む数字と、ベアだけの数字では意味が違う。「前年を発射台にし、労組側がどれだけ積み上げていけるか」(労組関係者)が焦点だ。
経営側は慎重
春闘相場に影響力のある自動車業界は北米販売の増加や円安で各社とも好調な業績が続く。一方で、物価は上昇しており、組合員には賃上げへの期待が高い。
しかし、経営側にはベアに対して慎重な考えが強い。14年9月中間決算で過去最高の最終利益を計上した富士重工業の吉永泰之社長でさえ、「純粋に国際的な競争力が増したとはいえない。(ベアで)コストを上げて本当に大丈夫なのか」と指摘。三菱自動車の益子修会長も「今後の景気は厳しい面があるという認識を持っている」と話す。(小島清利/SANKEI EXPRESS)