【Viva!ヨーロッパ】
モスクワで、日本人学校の生徒らが通う小さなバレエ教室が静かな注目を集めつつある。父親の赴任のため訪露し、3年程度しか滞在しない生徒が大半にもかかわらず、今年に入り生徒たちはロシアの国立バレエ団の舞台に立った。原動力となっているのは、旧ソ連時代に海を渡った一人の日本人バレリーナだ。
真冬の地下に厳しい声
「お客さんが1回来て変なものを見せられたら、それまでなのよ!」
厳しい声が響く。2月、真冬のモスクワの夜8時。屋外は雪に包まれていたが、日本人学校の地下にある小さなホールは、熱気と緊張に包まれていた。発表会を目前にして、本番用の衣装を身につけて踊っていたのは大半が小学生たちだ。
「遅くまで大変じゃない?」。記者の質問に、3年生の女の子が「頑張らないと、発表会が台無しになっちゃうから」と笑顔で答えた。厳しい指導を受けても、へこたれる子供はほとんどいない。「なぜバレエを始めたの?」と聞くと、「衣装がきれいだったから」「ボリショイ劇場で見て、好きになったから」「白鳥の湖を見たから」などと次々に答える。子供たちは、決してバレエを目的にロシアに留学したわけではないが、それほどバレエが身近になっているようだ。