しかし懸命に学ぶ生徒の間からは、現地のバレエ学校の準備クラスに比肩できるような子供も出始めた。熱中し、「毎日おやつも食べずに柔軟体操をしたり、サンタクロースにレッスンバーを持って来てくれるよう願う子供もいた」という。そのような努力が少しずつ実を結び、今年1月にはスタジオの生徒たちが、ロシアの国立バレエ団の舞台に立つチャンスを得るに至った。
衣装の多くは親の手作り
「衣装のこの部分は大きすぎませんか?」。参加者の金銭的な負担を減らすため、本番の舞台で使う衣装の多くは親の手作りだ。しかし問題があれば、千野さんから即座に指摘が入る。
「大変です」。母親の一人は率直に語った。しかし「一度舞台に出ただけで、子供が大きく変わりました。引っ込み思案だったのが、明らかに自信がついたのです」と、その成果に目を見張る。夜まで続く練習をじっと見つめつつ、裏方で動き続ける母親たちの姿は、まさに一つの“チーム”のようだった。