サッカー日本代表のバヒド・ハリルホジッチ新監督(壇上の右から2人目)の来日会見には多数のメディアが詰めかけた=2015年3月13日、東京都港区(中井誠撮影)【拡大】
【メディアと社会】
マスメディア、とりわけテレビ局にとって、五輪やサッカーのワールドカップ(W杯)は、どんなドラマも太刀打ちできない「キラーコンテンツ(圧倒的視聴率番組)」である。だからその放映権獲得競争は熾烈(しれつ)で、国際オリンピック委員会(IOC)もそれをあて込んで、最大の放映権料が期待できる米国のプライムタイムに、陸上男子100メートルなどの人気種目を合わせるから、選手は体調維持などで大迷惑である。
「お客さま(視聴者)は神様」といってしまえばそれまでだが、その神様たちは、楽しみ(実際には「楽しまされている」)を自己確認することなくメディアによって世界観が形成されることになる。今回はスポーツ番組による日本人の世界観と愛国主義の危うさについて考えてみたい。
外国人が率いるNIPPON
スポーツと音楽は、人間の共通能力に基づくから文化や言語に左右されず、世界をつなぐという考え方があるが、実際には愛国・敵国感情の強化に使われる面も無視できない。