【KEY BOOK】「対称性の破れが世界を創る」(イアン・スチュアート&マーティン・ゴルビツキー著、須田不二夫ほか訳/白揚社、4104円、在庫なし)
自然界の根本を知る絶好の本。銀河の渦巻からトラの縞模様まで、鉱物の結晶からカオス理論まで、対称性生成の一部始終が手にとるようにわかる。しかし、もっと根本を知りたかったら、南部陽一郎が仮説した「自発的な対称性の破れ」の考え方に突入するべきだ。そこには宇宙が創られた根本の根本が書いてある。一方、対称性をめぐるロマンを感じたければ、寺田寅彦を読むといい。とても気持ちがよくなる。
【KEY BOOK】「社会はなぜ左と右にわかれるのか」(ジョナサン・ハイト著、高橋洋訳/紀伊国屋書店、3024円)
現在のアメリカでは極端な政治過程の二元化がおこっている。どんなにリベラルな政策や見解が出ても、事態はたいてい左と右に大きく分かれてしまう。おまけに現状のアメリカ人の政治意識を調査してみると、どんな民主党のキャンペーンも共和党支持者の心を動かさないことがはっきりしてきた。