なぜこんなことになってしまうのか。本書はその理由と社会感情が左と右に分かれて中道化しなくなっていくプロセスとを、道徳タイナミックスや道徳マトリックスを駆使して解こうとしたものである。著者はニューヨーク大学ビジネススクールで道徳心理学の教授。いま、最もノッている学者さんだ。ハイトは人間社会で対立がおこる起源を追走するために、進化学、サル学、脳科学、文化人類学、心理学などの成果を巧みに組み合わせて、政治も社会的な価値観も必ずしも理性的に形成されてはいないことを突き止めた。そのうえで合意と決断の形成プロセスに新たな光を当てた。意外な結論だ。比喩もうまい。前著『しあわせ仮説』とともに読まれるといい。(編集工学研究所所長・イシス編集学校校長 松岡正剛(せいごう)/SANKEI EXPRESS )
■まつおか・せいごう 編集工学研究所所長・イシス編集学校校長。80年代、編集工学を提唱。以降、情報文化と情報技術をつなぐ研究開発プロジェクトをリードする一方、日本文化研究の第一人者として私塾を多数開催。おもな著書に『松岡正剛千夜千冊(全7巻)』ほか多数。「松岡正剛千夜千冊」(http://1000ya.is is.ne.jp/)