中国東部、浙江省杭州市の小学校で、サッカーの授業を受ける子供たち。中国の地方政府は今、習近平国家主席の「個人的な夢」に応えるべく、サッカー熱を一段とヒートアップさせている=2015年3月18日(AP)【拡大】
選抜方式か普及方式か
今回の強化プランでは、素質のある子供に英才教育を施す従来の「選抜方式」を取るのか、「普及方式」を取るのか-。CCTVによると、中国のサッカー評論家は、「ある小学校でサッカーを発展させ、3年生で20人を選んで学校代表チームを作り、毎日2時間練習させるとする。そうした場合、他の1000人以上の児童は何をするのか。そばで見ているのか」と選抜方式を疑問視している。
評論家はさらに、「選抜された優秀な児童でも、最後にものになる率は低い。もっと多くの子供にサッカーをする機会を与えてこそ、才能ある子供が出てくる。この方が人材はさらに多くなり、早く出てくる」と主張している。
地方政府の措置は、純粋なサッカー強化策というよりも、習近平国家主席への恭順を示す意図が透けてみえる。授業でのサッカー特化に「待った」をかけた劉鵬局長でさえ、「サッカーは学校体育の模範となるべきだ」と述べている。「総合プラン」に対する過剰反応は、中国が目指す、メダル至上主義の「スポーツ大国」から、国民全体がスポーツに親しむ「スポーツ強国」への転換を、減速させる危険もはらんでいる。(中国総局 川越一(はじめ)/SANKEI EXPRESS)