ジヌは東北地方の方言で「銭」や「カネ」を意味するらしい。松田は「厳しいですよね。もしお金がなかったら…」と先立つ物の大切さを語る一方で、「人生で大切なものは何か?と考えても、一概には言えません。でも、映画の登場人物は皆、それぞれに事情を抱えながらも、助け合って生きています。本当の悪者がいないんです」とも。松田はじっくりと作品を考察しながら、観客がテーマへと至ることができるように道しるべを示した。
少しずつ近づける
松尾監督とのタッグは、俳優として駆け出しの頃だった「恋の門」(2004年)以来となる。当時は気持ちに余裕がなかったが、今ではだいぶ、松尾監督の言わんとすることをのみ込めるようになったという。「松尾監督の演出は難しいので、僕は無理やりに応えようとするよりも、少しずつ近づけていきました。もしできなかったら潔くあきらめます。松尾監督から指示を受けることで、自分自身の中に何らかの変化は起きているはず。松尾監督の言った通りに演技ができなくても、OKが出ればそれでいいのかなと思っています」。作品に登場する村の長老(西田敏行)の金言ではないが、松田は「必ず何とかなる。思った通りではないけれど…」の気持ちで臨んだようにも見えた。4月4日、全国公開。(文:高橋天地(たかくに)/撮影:蔵賢斗/SANKEI EXPRESS)