安倍晋三(しんぞう)首相(左)と面会する拉致被害者家族会代表の飯塚繁雄さん(右端)ら=2015年4月3日、首相官邸(酒巻俊介撮影)【拡大】
今回の面会にあたり、政府内には当初、「成果がない段階で面会すれば、首相が家族会から突き上げられるだけの場になる」と慎重な声もあった。しかし、面会拒否となれば家族会の不満は増し、結果として北朝鮮を利する形になる。首相は面会に応じ、不安払拭を図ることを選択した。
首相には、したたかな計算もあった。政府は3月31日の閣議で、日本独自の対北朝鮮制裁措置を2年間延長することを決定。3月26日には、京都府警などの合同捜査本部が朝鮮総連の許宗萬(ホ・ジョンマン)議長宅などを家宅捜索した。政府関係者は「首相は強い姿勢をアピールできるタイミングで面会に応じた」と明かす。
首相との面会を終えた家族会からは「失望感を拭い去るものはなかった」という厳しい声も出たが、家族会の一人はこう言い残し、官邸を後にした。
「とにかく首相に会うことが大事だ。結局、私たちは首相にすがるしかない」(石鍋圭/SANKEI EXPRESS)