聖骸布は、聖ヨハネ大聖堂を入って左奥に安置されている。防弾、防水、防火処理の施された分厚いガラスで仕切られており、その前には人だかりができていた=2014年5月8日、イタリア・ピエモンテ州トリノ(小野淳一撮影)【拡大】
それを確かめるには、自分の目で見るしかない。取材旅行はフランスからイタリアへと続くことになっていた。5月初め、ある彫刻家をインタビューするためトリノに入った。
≪イエスの亡きがら包んだ? よりどころは心の中だけ≫
トリノで宿泊したホテルのすぐそばに、イエスの遺骸をくるんだ布(聖骸布(せいがいふ))を収めている寺院があるという。
矢もたてもたまらず、宿から歩いて5分もかからない聖ヨハネ大聖堂を訪れた。ひんやりした堂内に入って左側すぐのところに、カウンターがあった。絵はがきをはじめさまざまなグッズが売られている。そこで初めて聖骸布の外観を知った。写真を引き伸ばした大きなコピーが掲げられていたからだ。象牙色の布に、男の全身像がネガ状に写っているように見える。どうやら布の中心に頭を置き、縦に2つ折りにして亡きがらを包んだようだ。手は組んで下腹部に置かれている。そして肝心の顔を見ると、多くの絵画でわれわれが目にしてきた、あのひげをはやしたキリスト…。