聖骸布は、聖ヨハネ大聖堂を入って左奥に安置されている。防弾、防水、防火処理の施された分厚いガラスで仕切られており、その前には人だかりができていた=2014年5月8日、イタリア・ピエモンテ州トリノ(小野淳一撮影)【拡大】
「実物を見ることはできないのですか?」と店のカウンターにいた女性に聞いてみた。しかし、彼女は2015年の「ミラノ国際博覧会」(5月1日~10月31日)のときには公開するが、それまでは公開されることはないという。ただ堂内に聖骸布が収められているのは確かだ。たどたどしい英語力で、もらったパンフレットを読みながら通路を歩んだ。
布は縦4.42メートル×横1.13メートル。材質はリネンだ。体にはむち打たれた跡やいばらの冠をかぶせられた跡などがある。背中にも十字架を背負わされたような傷。手首や足にもくぎで打たれた跡が見てとれる。
われわれが知っているイエスの最期、あのゴルゴタの丘に十字架を背負って歩み、磔になる姿をほうふつとさせる跡が、くっきりと残っているのだ。もちろん、これまでに科学的調査も行われてきた。1988年には、この布は13世紀ころのものだとされた。逆に今世紀に入ってからの調査では、それ以前のものであることが明らかになったとされている。