米バージニア州リンチバーグのリバティー大学で、家族を伴って大統領選への出馬をいち早く表明した共和党のテッド・クルーズ上院議員(右から2人目)。信仰を前面に出して選挙戦に臨む姿勢を明確にした=2015年3月23日(ロイター)【拡大】
セブンスデー・アドベンチスト教団の聖職者を父に持つカーソン氏、バプテスト教会の牧師という経歴を持つハッカビー氏は、いずれも宗教保守からの安定した支持を得てきた。
クルーズ氏はまず、両氏の牙城を切り崩すことから16年大統領選への長い戦いを始めようとしたのだ。それが出馬表明やCMでキリスト教の価値を強調していることの理由だ。
08年大統領選の緒戦、08年1月のアイオワ州党員集会でハッカビー氏が宗教保守の支持で勝利したことは語り草になっている。米メディアによると、共和党員の約4割が自らを「ボーン・アゲイン」もしくは福音派であるとしており、宗教保守の動向が共和党の予備選・党員集会を左右することは間違いない。
4月には共和党の有力候補たちの出馬表明が続く。茶会系から不評な穏健派、ブッシュ氏も宗教保守を意識せざるを得ない。クルーズ氏の打った先手は、強硬か穏健かの路線対立が残る共和党の行方を左右することになる。(ワシントン支局 加納宏幸(かのう・ひろゆき)/SANKEI EXPRESS)