大飯の判決は確定まで法的効力が発生しない内容だったため、関電が控訴した時点で実質的に効力を失った。だが差し迫った事態に対応する仮処分決定は、判断が覆るまで効力を持つ。民事訴訟に詳しい冨宅恵弁護士は「樋口裁判長による審理を狙ったとみられる原告の戦略に関電が完敗した」と指摘する。
赤字回避に悲壮感
「2015年度も再稼働が難しくなっても再々値上げはないでしょうね」。1月、経済産業省。関電の震災後2度目の電気料金の値上げを審査する有識者会議で、ある委員が関電の八木誠社長にこう詰め寄った。
「訴訟などの理由で(原発停止が)長期化すると総合的な判断が必要」。八木社長は将来的な再々値上げを完全否定できなかった。
関電は13年春に震災後初めて電気料金を値上げし、家庭用で平均9.75%引き上げた。今回は家庭用で平均10.23%の値上げを申請。単純合算で2年で20%もの電気料金の上昇だ。企業用は計約34%上がり、電気料金の負担増が市民生活や企業経営を圧迫し続ける。