関電は再稼働の遅れで悪化する財務基盤を再値上げで改善する考えだ。火力発電所の燃料費増加などで15年3月期の連結最終損益は1610億円の赤字の見通しだ。関電は、再値上げをした上で11月に高浜を再稼働すれば、赤字は回避できると想定していた。だが、仮処分に対する異議申し立ての審理は1年近くかかる恐れもあり、関電のシナリオを狂わせていく。
再稼働が想定以上に遅れれば、火力発電所などの修繕費の削減まで迫られかねず、「赤字回避には火力などの安全面を多少犠牲するくらいしないと、うちは終わる」。関電首脳の言葉に悲壮感が漂う。
≪高浜町長「土俵違う」「私自身の責任で判断」≫
福井地裁の仮処分決定について、福井県高浜町の野瀬豊町長は14日、報道陣の取材に「司法と行政の判断は土俵が違う」とし、自身が行う再稼働可否の判断への影響は限定的との見方を示した。「私自身の責任で判断していくことに変わりはない」と強調した。
3月20日に再稼働への同意を決めた高浜町議会の的場輝夫議長は「規制委の存在自体に疑義を挟む決定だ」と反発した。