「琴」と呼ばれる楽器のほとんどは、実際は「箏」である。その現代版ともいえる「二十絃箏」の魅力を、米ニューヨークから世界に発信している黒澤有美(39)。古典から自作曲、さまざまなジャンルとの競演まで、その調べには「泣きたくなる」という声が多いのだという。伝統的な邦楽だけにこだわらず、あらゆる文化を吸収し、咀嚼(そしゃく)してきた経験が、郷愁を誘う音楽を作り出している。21日には東京・代官山で尺八奏者の藤原道山とのライブがある。
音楽と勉強を両立
岩手県盛岡市で和楽器店を経営する箏奏者の両親のもとに生まれ、小学生のころから数々のコンクールで優勝。才能は折り紙付きで、箏奏者の道を進むことは自然の成り行きだった。
だが自分なりの音楽を作りたい、という思いが一般的な邦楽奏者とは違う道を歩ませる。
15歳のころ、母が弾いていた「二十絃箏」に出会った。