もともと、今回の閣僚協議開催には「日米首脳会談を控えて、決裂という事態にでもなれば、会談にも悪影響を及ぼす」(政府高官)と懸念の声も上がっていた。それでも開催を決めたのは「日米は閣僚協議さえ開けない状況だと他の参加国に受け取られれば、交渉全体の合意機運が低下してしまう」(交渉筋)との危惧があったためだ。
米国側には、日本に市場開放を迫る努力を続けていることをアピールすることで、交渉全体の合意に欠かせない大統領貿易促進権限(TPA)法案への議会内の支持を集めたい思惑もあったとみられる。もちろん、これまでの協議で大きな進展があったのも事実だ。
例えば、日米間で焦点となってきた日本の牛・豚肉の関税の扱いでは、現在38.5%の牛肉関税を9~11%程度まで段階的に引き下げる方向。豚肉関税も、輸入価格が1キロ約65円未満の低価格品にかける1キロ482円の関税を、50円程度まで段階的に下げる案がほぼ固まっているもようだ。
コメや自動車部品といった政治的にも重要な項目は「協議の最終盤で扱う」(交渉筋)ともされてきた。