しかも、私の右のかかとの形は、横から見ると切り立った崖のように、すとんとまっすぐ落ちている。この丸みのなさのせいで、私は丈の短い靴下を満足に履けたためしがない。きつそうな靴下をあれやこれや買ってきては、毎回チャレンジしてみるのだが、何度試しても、まるで磨かれた床を滑り落ちていくように、靴下はかかとのほうから情けなく、すっぽん、と脱げる。なんとか食らいつく強者が現れても、少し歩いているうちに、やはり、すっぽん、となる。
ひどくなると裸足で歩いていた
そんなこんなで、夜になってみんなで食事を済ませ、「さあ、宿まで少し歩いて帰ろうか」という流れになったのに、ひとり、ひぃひぃ言って、うまく歩くこともできない。夕方にホテルでバンドエイドをもらって、応急処置を施していたせいで、どうにかなるだろうと私はのんきに構えていたのだ。が、三枚重ねしたバンドエイドがどうした、とばかりに靴擦れはひどくなっていく一方で、おまけにタクシーもまったくつかまる気配がない。