そのうち、靴を脱いで歩けばいい、とひとりが言い出した。なるほど、確かに、そうすれば靴擦れ問題は解決する。それに私は少し前まで、こういう時、率先して裸足になっていたではないか。裸足で歩くのが、なぜ悪い。そんな気持ちで、まるでアナキストのように、一滴のお酒も入っていないのに、えいっと、ところ構わず脱いでいたのだ。私は生粋の、裸足好きだった。
私を動顛させた一言
しかし、そんな私に転機が訪れる。
ある時、Aさんに放たれた言葉に動顛し、それきり、やめてしまったのだ。
Aさんは、たぶん私が「早くタクシーを捕まえればいいのに」ということを遠回しにアピールしているとでも勘違いしたのだろう。冷ややかな目付きで私の足元をチラチラ見ると、たった一言、「嫌みたらしい」とぼそっとつぶやいて、私の裸足を嘲笑(あざわら)ったのだった。
その瞬間、私は、ぎゃっと叫び出したくなった。