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空間満たす「彼女」の存在感 「山口小夜子展」 椹木野衣 (1/5ページ)

2015.4.27 10:20

「資生堂_舞」のポスター(撮影:横須賀功光、AD:中村誠、1978年、提供写真)

「資生堂_舞」のポスター(撮影:横須賀功光、AD:中村誠、1978年、提供写真)【拡大】

  • 松蔭浩之「山口さよこ_#1」(2005年、ディレクション/コスチュームデザイン:津村耕佑、提供写真)
  • 山口小夜子×生西康典×掛川康典「夢よりも少し長い闇」(2015年、提供写真)
  • 山川冬樹「その人が見た未来は僕らの現在」(2015年、提供写真)
  • 山口小夜子(撮影:下村一喜、2005年、提供写真)

 【アートクルーズ】

 会場に一歩足を踏み入れた瞬間から、「彼女」の気配を感じる。彼女の息吹が、立ち居振る舞いが、残り香が、いくつもの影が、展示室の隅々まで染み渡り、いつのまにか見る者の心の奥にまで入り込んでくる。

 「彼女」とは、山口小夜子(さよこ)。1970年代に、アジアで初めての世界的なトップモデルとして、知らぬ者がいないほどの成功を収めた。が、21世紀に入ってからは、前ほどはその名を聞く機会もなかった。2007年に急逝してからは、なおさらだった。だから、こんなふうに、いささか唐突に彼女が復活するとは、思いもしなかった。しかも、展覧会というかたちを借りて。

 全てを受け入れたモデル

 本来、モデルは忘れられる存在である。年を重ねるほど、心の襞(ひだ)が存在感を高める女優と違って、モデルとは、いわば着せ替え人形、つまりはマネキンにほかならない。余計な内面など、むしろ邪魔だ。主役は、あくまで衣服でなければならない。だからモデルは、成功すればするほど、そんな宿命からの脱却を目指す。人形の代わりなら、いくらでもいることがわかっているからだ。しかし、山口小夜子の特別な存在感は、そうした使い捨ての人形とは、まったく違っている。しかもそれは、モデルから卒業するのではなく、まったく反対に、生涯にわたってモデルに徹することで得られている。

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