米ニューハンプシャー州キーンの玩具・家具工場で、従業員らと対話集会を行った後、メディアの質問攻めにあうヒラリー・クリントン前国務長官(右)。返答はよどみないが、その内容は明瞭とは言い難い=2015年4月20日(ロイター)【拡大】
リベラル層の反発懸念
またクリントン氏の対抗馬として名前が挙がる大統領候補たちもTPPへの反発を強めている。民主党と連立する無所属議員のバーニー・サンダース上院議員(73)は20日のデモでのスピーチで、TPPによって米国の労働者は低賃金国との競争にさらされると指摘。「TPPは労働者に破滅的な結果をもたらす」と主張した。米メディアによると、マーティン・オマリー前メリーランド州知事(52)も支持者らへのメールで、「TPPのような悪い自由貿易協定に反対することは私にとっては常識だ」として、TPPへの反対を鮮明にしている。
クリントン氏は民主党支持層から圧倒的な支持を受けており、サンダース氏やオマリー氏が直接の脅威になるわけではない。ただし国務長官時代と同様にTPP推進を口にしてしまえば、労組などリベラル層を失望させてしまうことは確実。そうなれば16年の大統領選本選で、共和党候補に足下をすくわれることにもなりかねない。政治アナリストからは「クリントン氏は可能な限り長い期間、TPPへの賛否を示さない態度をとるだろう」との見方が出ている。