アテネ五輪陸上男子110メートル障害で優勝し、喜ぶ劉翔(りゅう・しょう)。あれから11年、引退を発表した劉翔の大学院進学が新たな論争を引き起こしている=2004年8月27日、ギリシャ・首都アテネ(ロイター)【拡大】
【国際情勢分析】
2004年アテネ五輪陸上男子110メートル障害で金メダルを獲得した中国のスター選手、劉翔(りゅう・しょう、31)が、引退発表後も新たな論争を引き起こしている。発端は、劉翔が試験免除で華東師範大学(上海市)の博士研究生となったこと。国が定めるメダリストの優遇措置のあり方について、疑問の声が上がり始めている。
劉翔の進学が引き金
劉翔は4月7日、中国版ツイッター「微博(ウェイボ)」上で、現役引退を発表し、「残っている学業をやり遂げて、さらに一歩自分を充実させるつもりだ」と述べていた。それが、華東師範大学で体育人文社会学の博士号を取ることだった。
中国国家体育総局は02年9月、引退した選手の就業を進めるための「意見」を発表した。その第7条に、好成績を収めた選手は大学入試を免除する旨が定められている。国内の全国大会では3位以内、アジアの大会では6位以内、五輪や世界選手権などでは8位以内で、その資格を得ることができる。