台所に立つのはごく自然なことという、漫画家のきくち正太(しょうた)さん。「男が料理をすると、『男の料理』やら『~男子』なんて特殊な扱いをされるけれど、普通に自分が食べるものを作っているだけだから」=2015年4月28日(塩塚夢撮影)【拡大】
とはいえ、単なるカレーそばにはとどまらない。カレー粉は市販品と自家製を合わせたものだし、めんつゆだって羅臼コンブの切れ端に宗太鰹(ソウダガツオ)、いりこなどを合わせたきくち家秘伝(?)のものだ。「特に『こだわり』を意識しているわけじゃないんだけど、市販のだと何を作っても同じ味になってしまうのが年齢とともに物足りなくなってきて。自分で作るといとおしくなるしね」と自然体だ。「好みに合わせて配合は日々進化している」というめんつゆを味見させてもらうと、香りはふくよか、後味すっきり。「ね、うまいでしょ?」と笑うその表情からは、食への喜びがシンプルに伝わってくる。
自分なりの「配合」
「『料理』っていう言葉はあんまり好きじゃないんだ。三食あたりまえに食うんでね。ただ好きで、ただおなかが空いて、ただあれが食いたいこれが食いたいってやってるだけ(笑)。日々のことだから、無理しては続かないし。かといって、平凡すぎては本にならない。そのあたりの配分が難しいところ。そういう意味では、めんつゆではないけれど、いろんなものに自分なりの『配合』が見えてきた今だからこそ、描けた作品かな」