台所に立つのはごく自然なことという、漫画家のきくち正太(しょうた)さん。「男が料理をすると、『男の料理』やら『~男子』なんて特殊な扱いをされるけれど、普通に自分が食べるものを作っているだけだから」=2015年4月28日(塩塚夢撮影)【拡大】
料理のみならず、根来の合鹿椀(ごうろくわん)や古伊万里銚子など、器も作品に美しさを添える。さらには吹き抜ける夏の風、窓から見える元旦の富士山-。「ただうまいものが出てくるだけの作品ではない(笑)。食べ物は空気感がないとね。焼き鳥屋だってそうでしょう。かしこまった高級店より、煙がモクモクした路地裏の店のほうがおいしく感じる」
とっておきのスパイスが、もうひとつ。“おかあさん”との愛あふれるやりとりだ。2人で買い物に行き、元日には双方の“実家の味”の思い出を交わしながら雑煮を作り。「仲がいい、というか、2人でいることがあたりまえなんだよな…。2人で食べて、お茶を飲んで…自分の実家が農家で、畑仕事は両親が夫婦でしていたからかもしれないけれど」
作中にも、取材中にも何度も出てくる「あたりまえ」という言葉。「『あたりまえ』をやっていれば間違いがない、というのが持論なんだ」