近年では、2001年に山体の膨張を示す地殻変動や最大で地震の大きさを示すマグニチュード(M)2.8の群発地震が発生したほか、大涌谷で噴気の勢いが増す暴噴が確認されたが、噴火には至らなかった。その後も06、08、11、13年と、数年に1度のペースで群発地震があった。
4月26日から異変
13年以降、目立った群発地震は発生していなかったが、今年4月26日から、微少な火山性地震が増加し始めた。4月1~25日までは計8回だった地震が、26日に17回、27日に16回、28日に24回発生。5月2~4日は35回前後の地震があり、5日には01年を上回る116回を観測した。
また、噴火の兆候とされる山体の膨張もわずかながら観測されているほか、3日からは大涌谷内の温泉施設で暴噴が発生している。
5日夜に発生した震度1の地震は、震源が約5キロと深い場所だった。気象庁火山課の北川貞之課長は、「地下深くのマグマから高温ガスなどが噴き上げ、そこから熱水に熱が供給されていると考えられる。現時点でマグマの上昇はないと考えているが、熱水の温度や圧力に急激な変化が加われば噴火が発生してもおかしくない」と話した。