4月20日、パキスタンを訪問し、マムヌーン・フセイン大統領(左)、ナワズ・シャリフ首相(右)と歓迎式典に臨む中国の習近平国家主席(中央)。この際、「シルクロード基金」の初の投資案件が決まった=2015年、パキスタン・首都イスラマバード(新華社=共同)【拡大】
中国財政省が取りまとめ役となっている応募資本金1000億ドルのAIIBが、まがりなりにも世界に開かれた国際金融機関の体裁を整えようとしているのに対し、シルクロード基金は中国人民銀行(中央銀行)が率いる中国独自の組織だからだ。「中国が対外援助の名を借りて軍事転用が可能なインフラ建設を進めることも考えられる」と国際金融筋は続けた。シルクロード基金の投資先は習指導部が自由に決められるといっていい。
基金の運営母体となる「シルクロード基金有限責任公司」の董事長(とうじちょう、会長)には、人民銀行の総裁補佐で女性の金●(=王へんに奇、きんき)氏(1955年生まれ)が就いた。金氏は全国人民代表大会(全人代=国会)の開催に合わせて3月12日、北京で記者会見し、「取締役会や監事会、幹部層の陣容は(中国国内で)整えた」と説明。国外からは運営に口を挟めないことが明確に示された。
国際監視受けず収益追究
シルクロード基金はまず100億ドルでスタート。外貨準備から65億ドルを拠出したほか、残りは国家開発銀行など中国の公的機関が出資した。国際金融筋によると、基金の運営はプライベート・エクイティ・ファンドと呼ばれる投資ファンド形式で行われ、AIIBが目指す比較的低利の融資とは一線を画す。