4月20日、パキスタンを訪問し、マムヌーン・フセイン大統領(左)、ナワズ・シャリフ首相(右)と歓迎式典に臨む中国の習近平国家主席(中央)。この際、「シルクロード基金」の初の投資案件が決まった=2015年、パキスタン・首都イスラマバード(新華社=共同)【拡大】
対象と選定したプロジェクトごとに中国国内の金融機関や機関投資家などからも資金を募って資金を組成し、発電所などの事業体に投融資。事業を育成した上で10年程度をかけて資金回収する中長期の国家級ビジネスだ。この基金へは将来的に、収益を狙う国外の投資家にも参加への機会を開く方針だ。いわゆる政府系ファンド(SWF)とも異なる性質の金融となる。
昨年末で3兆8430億ドルと日本の約3倍に上る世界最大の規模を誇る中国の外貨準備。米国債を始めとする米ドル建て公的債券が運用先の過半だが、これをいかに分散させ、かつ投資効率を上げるかという点に習指導部は主眼を置いたようだ。シルクロード基金の規模は外貨準備高全体からみれば現段階ではまだ小さいが、有効性が確認されれば、スピーディーに大幅増額されることも考えられる。
日本など先進国が中国も含む途上国向けに行っている政府開発援助(ODA)が政府予算から拠出され、経済支援を目的としているのに対し、中国の場合は世界第2の経済大国になってもなお自ら途上国であると称して、供与(グラント)要素の大きいODAなどではなく「収益目的」のインフラ建設に固執している。しかも、環境破壊も人権侵害も軍事転用もなんら国際的に監視される制度がない。