4月20日、パキスタンを訪問し、マムヌーン・フセイン大統領(左)、ナワズ・シャリフ首相(右)と歓迎式典に臨む中国の習近平国家主席(中央)。この際、「シルクロード基金」の初の投資案件が決まった=2015年、パキスタン・首都イスラマバード(新華社=共同)【拡大】
パキスタン皮切りに猛威
投資先第1号となるパキスタンの水力発電所は年内に着工して2020年稼働をめざす。建設資機材や発電用タービンの輸出、労働力の提供などは、中国企業がほぼ独占するものとみられている。中国のパキスタン重視は地政学的な理由からだ。
中国は中東から輸入する石油はいずれパキスタンの港で陸揚げし、内陸を伝わるパイプラインで中国内に輸送することをもくろんでいる。シルクロード基金の最初の投資先にパキスタンを選んだのは、こうした経済的な戦略性に加え、インドへの牽制目的もあるパキスタンとの軍事協力拡大への道筋も見え隠れする。パキスタン以外でも中国からの原発や高速鉄道の洪水のような輸出が始まるだろう。
中国を起点に陸路と海路から欧州に向かう経済圏構築へ、アジア広域で鉄道網や空港、発電所などを続々と建設しようという新シルクロード構想は「一帯一路」と呼ばれる。そのルート上にある途上国は建設資金がノドから手が出るほど欲しい。肥大したチャイナマネーは資金需要に応える格好で、その実、中国の国家戦略と結びつき、この地域で猛威を振るうことになりそうだ。(上海 河崎真澄/SANKEI EXPRESS)