3月12日深夜、若狭井(わかさい)からお香水を汲み上げる儀式「お水取り」が行われる。練行衆(れんぎょうしゅう)の道明かりとして、大きな松明(たいまつ)に火がともされる=2015年3月11日、奈良県奈良市の東大寺(井浦新さん撮影)【拡大】
1250年もの間、戦火の中でも一度も欠かさず、この「修二会」は執り行われてきた。自らをささげ、万民の幸福を願うという強い動機は、「不退の行法」と呼ばれる由縁だろうか。その命がけの壮絶な祈りの姿は美しく、同時に長きにわたり願われてきたものの重みを感じた。(写真・文:俳優・クリエイター、京都国立博物館文化大使 井浦新(いうら・あらた)/SANKEI EXPRESS)
■いうら・あらた 1974年、東京都生まれ。代表作に第65回カンヌ国際映画祭招待作品「11.25自決の日 三島由紀夫と若者たち」(若松孝二監督)など。ヤン・ヨンヒ監督の「かぞくのくに」では第55回ブルーリボン賞助演男優賞を受賞。
NHK「日曜美術館」の司会を担当。2013年4月からは京都国立博物館文化大使に就任した。一般社団法人匠文化機構を立ち上げるなど、日本の伝統文化を伝える活動を行っている。カメラを手に32カ国をめぐるNHKBSプレミアムの現代史紀行ドキュメンタリー「井浦新アジアハイウェイを行く」に出演中。