千数百年の歴史を持ち、京都でも盛んに行われてきた染色技法の一つに、「鹿の子絞り」がある。絞りで表現された紋様が子鹿の背の模様に似ていることが名前の由来だ。一つ一つ手で絞り、染まるところと染まらないところを分けることで表現する技法であり、絞った部分が立体的になるところ、染めの部分にグラデーションが出るのが特徴だ。「RE-DESIGN ニッポン」の第12回は、この「京鹿の子絞り」の若き担い手が手がける「たばた絞り」の工房を訪ねた。
技法と危機
絞り染めの技法は、古来より世界各地で行われてきた。日本に伝わってからは、染色技術の発達とともに独自の工夫が施され、「鹿の子絞り」など複雑な技法が生まれた。しかし、現在では着物を着る人が減るとともに絞り染めの従事者も少なくなり、生産拠点は中国などに移っているという。今回訪ねた「たばた絞り」の田端和樹さんは「自分が最年少の京鹿の子絞り職人で、次に若いのが父。それくらい後継者がいない」と語る。着物需要の減少はもちろん、絞り染めに求められる根気強さと体力、技術に若い人が耐えられないことが大きな要因という。