青森を象徴する木材であるブナ。この素材を独自の技術で加工することで生み出されるランプや家具がある。トレーなどキッチンウエアに用いられてきた素材と技術は、時代に合わせて変化し、現在は世界の富裕層が求めるインテリアとして人気だ。「Re-design ニッポン」の第9回は、苦境から一転、新たな市場を海外に見いだした素材と技術を取り上げる。
特性生かすもの作り
世界自然遺産の白神山地がある青森県南西部には、国内でも珍しいブナ林の自然林が広がる。ブナは「森のダム」と呼ばれるほど水分が多く、乾燥する過程で曲がりやすい性質があるため、建築用材としては一般的ではない。この地元の豊富なブナ材とその曲がりやすい特徴を生かした商品を製造しているのが、弘前に拠点を構える「ブナコ株式会社」(以下「ブナコ」)である。
ブナコの製造技術はとてもユニークだ。まずブナを厚さ1ミリほどのテープ状に裁断加工し、芯材に何重にも巻き付ける。それを湯飲みを使って職人が一つ一つ押し出していくことでさまざまな形を作り上げていく。倉田昌直社長によると、いろいろな道具を試した結果、湯飲みの丸さと硬さ、そして持ちやすさが最適だったという。手仕事であるがゆえに、さまざまな形状を自由自在に作り上げられるという強みもある。