《昭和30年代から40年代にかけての急激な都市化によって、市は市域の8分の1にも及ぶ500ヘクタールの樹林地を失いました。「広町緑地」についても同様に宅地開発の計画が持ち上がり、開発と保全をめぐりさまざまな議論がなされました》
その結果、神奈川県と鎌倉市、鎌倉市土地開発公社が開発予定地を買い取り、都市林として保全することになった。里山を大切にしたいと願う地元の人たちの熱意と活動が行政を動かす力になったようだ。
湿地を抜け、汗を拭き拭き山道を上がると、尾根道から相模湾が見えた。木のベンチに腰掛けて海の眺望を楽しむ。広大な敷地内にはエノキ以外にも大木が点在している。サクラの大木はもう花の季節を過ぎていたが、キリの大木は連休中がちょうど紫の花の見頃。たまたま訪れただけのおじさんでも「よくぞ、残してくださいました!」と里山の保存に取り組んでこられた皆さんに感謝したくなった。
そうか、市街地の三方をぐるりと山が囲んでいる鎌倉でも、わずか半世紀で市域の8分の1もの樹林地が失われているのか…。鎌倉駅前に戻ってから改めて新緑の低い山並みを眺める。どうしてこの町はたくさんの人をひきつけるのか。町を歩いているだけで心がほっとするのはなぜか。