魚と違って人間は性が変わることはない。自分の体の性別や自覚の性別のどちらかが嫌いでも、現世でそれを変えることは難しい。性転換手術をしても、生物学的に男は男、女は女のままであることに変わりはなく、来世に自分が望む性になりたいと願うだけだ。魚にはそんな悩みは存在しないだろう。人生のある時期に、あるいは出会った相手によって自分の性を変えることができたら、人生はどれほど変わるだろう。男女の理解がどれだけ進むだろう。そんなことを想像しながら魚を見て楽しんでいる。(写真・文:東京大学名誉教授 唐木英明/構成:平沢裕子/SANKEI EXPRESS)
■からき・ひであき 1941年、東京都生まれ。73歳。東大名誉教授。獣医師。公益財団法人「食の安全・安心財団」理事長。著書に『不安の構造』など。