今国会初の党首討論で、民主党の岡田克也代表(左手前)の質問に答える安倍晋三(しんぞう)首相=2015年5月20日午後、国会(斎藤良雄撮影)【拡大】
しかし、首相はその筋書き通りに答弁することは避け、集団的自衛権を行使すべき「武力行使の3要件」を説明することに時間をつぎ込み、法案の正当性を強調することに努めた。
これは、首相に“逃げ”の姿勢があったからではない。首相にとって、14日に閣議決定したばかりの安保法制を国民に説明できる絶好の機会だったからだ。国民の生命と財産を守るための安保法制という趣旨が、一部の野党やマスコミによる「戦争法案」とのレッテル貼りにかき消され、浸透していない焦りもある。
3要件説明に終始
首相は討論中、自身の答弁をかき消すほどの大きなやじを飛ばす野党議員にいらだちを隠さず、「皆さんが分かっているかどうかではなく、国民に理解をいただきたいから、あえて3要件を説明した」と声を荒らげる場面もあった。
また、党首討論の場であれば、逆質問するチャンスもあった。しかし、あえてそれを封印したのも、法制の意義を国民に説明する機会と捉えていたからだ。だが、岡田氏は「納得できない」と反発し、討論後も「聞いていないことを延々と答えている。一国の首相としてどうかと思う」と記者団に不満をぶつけた。両氏とも国民への「分かりやすさ」を求めたことでは共通していた。それがかえって自身の主張を述べ合うだけになり、議論が一方通行になってしまった。