バス襲撃テロの犠牲となった45人の死を悼み、祈りをささげるパキスタンの国会議員ら。「イスラム国」の犯行声明がネット上で流れたが、治安当局は信頼性に疑問を投げかけている=2015年5月14日、パキスタン・カラチ(AP)【拡大】
【国際情勢分析】
パキスタンとアフガニスタンで発生したテロで、中東のシリアやイラクで勢力を広げるイスラム教スンニ派過激組織「イスラム国」が関与したとの声明が相次いで出された。イスラム国とみられるグループは今年1月、この地域を「ホラサン州」として新たに領土とすると宣言している。しかし、パキスタンとアフガンの当局者からは、イスラム国のテロ関与には否定的な見方ばかりが表明され、現段階では声明の信頼性は乏しそうだ。
パキスタンで45人死亡
パキスタンでは今月13日、国内少数派のイスラム教シーア派住民を乗せたバスが南部の商業都市カラチで武装集団に襲撃され、45人が銃撃を受けて死亡した。
シーア派をテロの標的にしてきた国内多数派スンニ派の過激組織「ジュンダラ」が犯行を認める一方、ジュンダラが忠誠を誓うイスラム国の犯行声明もネット上で流れた。現場からは、イスラム国の犯行だとするチラシも発見された。
事実であれば、イスラム国がパキスタンでのテロを起こした初めての事件となるが、パキスタンのアイザズ・アフマド・チョードリー外務次官は地元メディアに「イスラム国の犯行とするのは時期尚早だ」と否定的な見方を示した。