米上院は22日、大統領に通商交渉の権限を委ねる貿易促進権限(TPA)法案を賛成多数で可決した。
自由貿易に前向きな共和党と慎重な立場をとる民主党は4月16日の法案提出以降、政治バトルを展開。共和党にとって最大のハードルだった民主党による議事進行妨害(フィリバスター)を阻止する21日の投票では、産業界のトップやバラク・オバマ大統領(53)も巻き込んだ多数派工作が繰り広げられた。「めったに見られない劇的な展開」(米紙ワシントン・ポスト)となった一幕は、ひとまず昨年の中間選挙で上院での多数派を奪回した共和党に軍配が上がって幕切れとなったかたちだ。
8人を動かしたキーマン
21日午前、TPA法案の審議打ち切りの是非を問う投票が始まった上院本会議場の中央で、共和党のミッチ・マコネル上院院内総務(73)ら賛成派が数人の議員を相手に最後の説得を続けていた。この時点での投数は賛成54票に対して反対38票。残り8人のうち3人が反対票を投じれば、最終的な法案の採決に進めない状況に陥ってしまう。