拉致被害者の家族(右側)と面会、救出に向けた決意を表明した安倍晋三(しんぞう)首相(左から2人目)=2015年4月3日、首相官邸(酒巻俊介撮影)【拡大】
小説では刺殺した容疑者が誰なのか最後まで明らかにされない。読者は想像を膨らませるしかなく、もやもやした気分に支配される。同様に日朝交渉の進展を期待していた拉致被害者家族の心も晴れない。
安倍首相は4月3日、家族会メンバーと官邸で面会し、自らをも鼓舞するかのように「全ての拉致被害者が日本の地を踏むことができる結果を出すために、あらゆる手段を尽くす」と決意表明した。今回の交渉が、日朝双方の視点で成り立った曖昧な合意でスタートしたものであっても、首相は「藪の中」から拉致被害者を救出する策を見出す努力を続けるしかない。(政治部 比護義則/SANKEI EXPRESS)