「よい映画祭は、普段考えない本質的なことを、立ち止まって考えられるような場所。そういう体験を(4姉妹を演じた)4人にさせたいなと思ってカンヌ国際映画祭に連れて行きます」と語る是枝裕和監督=2015年4月30日、東京都港区(寺河内美奈撮影)【拡大】
映画人にとって映画祭とは、「自分は映画に対し、どう振る舞うべきなのか?」ひいては「人生のあるべき姿とは何なのか?」といった、普段は置き去りにしてしまいがちな根源的な問いに改めて耳を澄まし、自分なりの答えに出合うことができる場所であるらしい。そうして得られた新鮮な気持ちと大量の栄養分を持ち帰ることで、また次の日から再び映画と向き合うのだ。
映画祭の魔力を体験
先のカンヌ国際映画祭で新作「海街diary」がコンペティション部門に出品された是枝裕和監督(53)が主だった出演者や大勢のスタッフを現地へ連れて行ったのは、そんな映画祭の魔力を体験してもらいたかったからだ。「自分が取り組んでいることを相対的に見られるし、歴史の中に位置づけることもできるんです。そうすると、自分が、映画に対して、何ができるかということまで考えざるを得ないですよね」。「海街diary」は惜しくも受賞を逃したが、是枝監督がカンヌから持ち帰ったものは、きっとタイトルにもまして大きなものだったに違いない。