「よい映画祭は、普段考えない本質的なことを、立ち止まって考えられるような場所。そういう体験を(4姉妹を演じた)4人にさせたいなと思ってカンヌ国際映画祭に連れて行きます」と語る是枝裕和監督=2015年4月30日、東京都港区(寺河内美奈撮影)【拡大】
インタビューが進むうちに、是枝監督は「小津」を連想させそうな要素をもう一つ探り当てた。「幸自身はおばあちゃん子。だらしない母親を反面教師にしながら育ちました。学校の教師である祖母を幸は『自分の理想』として生きてきたはず。映画ではそういう古風な面が出てもいいな、と僕も思ったので…。意識的にそういう撮り方をしたことが結果的に、ちょっと小津さんの映画を思わせてしまうのかもしれません」
ことさらに小津監督へオマージュをささげることも、逆にその世界観から離れようとしたこともなかった。しかし、「撮っていると『ちょっと、これ!』と現場で思うことがあるんです。小津っぽいな、というのは。でも、それも今回は嫌がらずにやっています」とも。カンヌへ発つ直前、多忙なスケジュールの合間を縫ってのインタビューだったが、すでに映画祭の魔法がかかっていたのか、早くも自分が生み出した作品と真摯(しんし)に向き合い、試行錯誤する是枝監督を目の当たりにすることができた。6月13日、全国公開。(文:高橋天地(たかくに)/撮影:寺河内美奈/SANKEI EXPRESS)