「よい映画祭は、普段考えない本質的なことを、立ち止まって考えられるような場所。そういう体験を(4姉妹を演じた)4人にさせたいなと思ってカンヌ国際映画祭に連れて行きます」と語る是枝裕和監督=2015年4月30日、東京都港区(寺河内美奈撮影)【拡大】
質問をぶつけてみると、是枝監督は苦笑いを浮かべた後、少し表情を曇らせた。「あまりその名前は出したくないですね。(小津監督の自宅があった)鎌倉だっていうこともあり、今回は、その名前が今まで以上に出てくるんだろうなと、僕は脚本を書いているときから、なんとなく思っていました。仕方がないかなとも思っているんですけれどね」
長女役・綾瀬の存在感
長女・幸のもつ雰囲気も「小津的」との印象を後押ししたようだ。「(幸は)ごく普通の登場人物のようであり、まあ誰とは言いませんけれど、ピンと背筋が伸びていて、たぶん(小津監督の多くの映画に出演した)原節子を想起させる、佇まいだったりするのでね。僕は(原節子を)意識したわけではないですけれど、綾瀬さんが持っているある種の古風な佇まい、所作、『こんな女優さん、昔の日本映画にいたな』と思わせてくれる感じが、きっとあると思うんです」