自己防衛
模擬選挙を経験した神奈川県の高校教諭は「選挙の争点を示して議論を促すこともできなければ、生徒が意見をぶつけ合うこともできなかった」と振り返る。争点の提示は論点の取捨選択につながるとして、教員の価値判断を禁じた県教委の内規に抵触するため、授業では生徒同士が討論する事前学習は断念。選挙公報を配り、参院選の制度を説明するだけの中身の薄い教育実践になってしまった。
県教委の過敏な対応について教諭は「内規は保護者や政党からクレームを受けないための自己防衛だろう」と推測する。
埼玉県の高校の模擬選挙でも、教諭が生徒の要望で各党のポスターを廊下に張り出そうとしたところ、教頭からストップがかかった。国旗国歌に関する教科書記述をめぐり、県議が「偏っている」と教育現場を批判する報道があった後で、教諭は学校側の自主規制だと感じた。「特定の政党支持の生徒が選挙活動を始めるかもしれない」。教頭の説明は、首をひねりたくなるものだった。